今回で、登録メンバー及びエリアごとの戦力解析も最後です。
今回は、雑草精神で箱根本戦に挑み続ける上武大、前回予選敗退から記念枠で箱根予選会を経ずに本戦進出という特殊な環境での箱根駅伝に挑む日本大学、例年よりもスタミナや箱根の経験値に優れ期待が持てる関東学生連合チームのご紹介です。



【上武大学】

【エントリー選手】
太田黒卓(4年)
大森樹(4年)
熊倉優介(4年)
石井僚(4年)
久保田直生(4年)
淵喜輝(4年)
関稜汰(4年)
松下恭一郎(4年)

橋立旋(3年)
佐々木守(3年)
鴨川源太(3年)
武田貫誠(3年)
齋藤優(3年)

坂本貫登(2年)
岩崎大洋(2年)
西井翔馬(2年)

上武_登録選手_1
上武_登録選手_2
上武_登録選手_3
上武_登録選手_4


【主なエントリー外選手】

関佑斗(4年)<前回箱根7区><箱根予選会出走>
西村暉(1年)<箱根予選会出走>

上武_登録外_1


箱根予選会を出走した2選手がエントリー外に。関佑斗は前回の経験者で持ちタイムも悪くありませんが、コンディションの関係でしょうか。



【各区間ごとの戦力】


※※※~戦力評価の内容~※※※
◎:大きな強み。チームの稼ぎポイント。
○:それなりの強み。ある程度のリードを期待できる。
△:及第点レベルだが、改善すれば強みになるポイント
▲:大きな課題点。改善出来ないと大きく差をつけられる要因になる可能性あり


<往路(エース・主力):▲ >
1年生から即戦力になれるタレントをあまりスカウトできない事もあり、往路での爆発力はなかなか伸ばしにくいところがあります。前回の箱根も1区ではリードを稼げたものの2~4区がいずれも区間下位に沈んで一気にレースの流れから置いていかれてしまいました。
今回はその悔しい思いをした選手が成長して再び往路に挑みます。まず要の2区は前回に続いて太田黒の起用が濃厚。箱根予選会ではチームトップの63分34秒ですが、2区のランナーのレベルで見るとやや分が悪いです。どれだけ万全の走りで粘っていけるでしょうか。
そして箱根予選会チーム2位の熊倉が1区の予想です。箱根予選会では63分56秒。持ちタイムでは去年の1区・2区の組み合わせを1分近く上回るので、こちらも万全の走りでチームに勢いをつけたいところです。
同じく課題である3区と4区。候補には前回4区の大森と若手の成長株である岩崎が挙がっています。大森は今年の新潟ハーフで自己ベストを更新。岩崎は箱根予選会でチーム3位の走りを見せています。
とにかく試合の流れから引き離されずに中位争いが見える位置に喰らいついていけるかが往路の上武大の戦いでしょう。


<5区・6区(山対策):▲~△ >
(起用予想…5区:関稜汰 6区:鴨川)
初出場からの10年間、この山登り5区では比較的結果を出せています。10回中5回は区間1桁~中位の走りをできており、一定のノウハウがチームにもできている事でしょう。
そんな今回の5区は、秋の駅伝シーズンに出遅れていた前回5区14位の関稜汰が11月の上尾ハーフで64分台をだし復調の気配を見せます。同じく5区候補に予想されている橋立(箱根予選会は64分47秒でチーム5位)とどちらが起用されるでしょうか。
一方、上武大にとって鬼門なのは6区です。ここまでの10回で最高は区間16位、タイムは61分30秒です。まだまだ6区で勝負できるレベルまでの道のりは遠いです。
そんな今回の6区は前回区間20位の鴨川の続投が予想されています。11月の上尾ハーフで63分45秒と主力クラスに迫るタイムをマークして地力をつけてきました。6区山下りの61分30秒の壁、そしてその先の区間中位ゾーンへどこまで近づけるかは注目です。


<復路(総合力・箱根未経験選手):△ >
箱根予選会で見せた後半の強さと中位の選手層は復路で活きる要素です。
候補としては前回の箱根復路を経験した石井、松下、佐々木、そして上尾ハーフで64分台をマークした坂本などが候補に挙がります。
この選手層が厚い中位を箱根の経験・持ちタイム・コンディションのどこを重視して選手を選ぶかは注目要素です。
また、前回の箱根は終盤で足が止まる展開が多かったことからチームとしても箱根予選会後の練習内容を根本的に見直して取り組んでいるとの事。それがチームの各選手にどれだけプラスの力を与えるかも気になる要素です。


雑草精神(あらくさだましい)の育成型チームとして堅実に結果を残し続けている上武大。下馬評では劣勢と見られる今回も、強靭な精神を走りに乗せてどれだけひっくり返していけるでしょうか。







【日本大学】

【エントリー選手】
パトリック・M・ワンブィ(4年)
佐藤玲偉(4年)
加藤拓海(4年)

阿部涼(3年)
金子智哉(3年)
松木之衣(3年)

武田悠太郎(2年)
野田啓太(2年)
横山徹(2年)
遠田光太郎(2年)
小林陸大(2年)
宮﨑佑喜(2年)

鈴木康平(1年)
北野太翔(1年)
大池竜紀(1年)
山本起弘(1年)

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【主なエントリー外選手】

竹元亮太(2年)<全日本メンバー入り>

日本_登録外_1


エース・主力を中心に順当にエントリー入りしています。
4年生では加藤、佐藤などが箱根1本に向けて準備をしてきているようです。
一方、6区候補と予想されていた竹本がエントリー外となりました。




【各区間ごとの戦力】


※※※~戦力評価の内容~※※※
◎:大きな強み。チームの稼ぎポイント。
○:それなりの強み。ある程度のリードを期待できる。
△:及第点レベルだが、改善すれば強みになるポイント
▲:大きな課題点。改善出来ないと大きく差をつけられる要因になる可能性あり


<往路(エース・主力):△ >
中軸になるのはやはり最後の箱根となるワンブィ。全日本は7区区間賞と盤石の内容で、起用が濃厚な花の2区も区間賞に向けて気合充分です。
そして1区の候補となったのが箱根に間に合わせてきた主将の加藤。1年生の頃から高い実力はありながらも怪我に泣かされてきた過去があります。12月の記録会で29分台をマークしており、後半の強さを活かしての1区が期待されます。
その他には、日本人エースの阿部を山に起用するとの予想から若い有望株が往路候補になっています。
1人目は横山。この秋もトラックでは29分台前半と好調で、全日本では1区7位と確かな感触を掴んでいます。
2人目は北野。全日本では6区に抜擢され区間13位だったものの関東勢の中位とは30秒前後の差で喰らいつく走りを見せました。
予選会を経由しない2年ぶりの箱根は未知数なところも多いでしょうけど、ワンブィまでの繋ぎとワンブィ以降の勢いの維持をどこまでできるでしょうか。


<5区・6区(山対策):▲~△ >
(起用予想…5区:阿部 6区:金子)
日本人エースの阿部の起用方針については色々な話が出ていましたが、12月の記録会を経て5区の可能性が高くなっているようです。
かつて留学生のキトニーを5区で起用しリードを稼ぐポイントとしたのと同様に、阿部も山でリードを稼げるでしょうか。
そして6区はエントリー前は金子と竹元が候補と言われ、そのうちの竹元がエントリー外となったため金子を予想候補に挙げました。しかし、一部では2年の宮崎が6区の秘密兵器という話もあります。
どちらも今季のタイムから見ると地力よりも山への適応力重視という様子なので、その走りに期待しましょう。
5区・6区共に挑戦の度合いの強い区間になりそうです。


<復路(総合力・箱根未経験選手):▲ >
候補として有力なのは全日本に出走した松木、武田、野田、鈴木。特にこの中では全日本でエース区間の2区を区間12位で戦い抜いた武田が軸となるでしょう。
あとは全日本では区間下位だった他のメンバーがどこまで箱根本番に良い状態に仕上げてくるかに懸かってくるでしょう。
もちろん他のメンバーのサプライズデビューもあり得ますが、日大全体で心配なのはハーフの持ちタイム。箱根予選会が免除のため実質的なスタミナ面のテストの場となった上尾ハーフでは好環境ながらも66分を切ったのは武田と松木のみ。他チームと比較すると非常に気がかりです。


数字で見ると後半にいくほど苦戦を強いられそうな日大。今回の箱根でブレイクする選手が出るかどうかもチームの成績を大きく左右しそうです。








【関東学生連合チーム】

【エントリー選手】
米井翔也(亜細亜・4年)
国川恭朗(麗澤・3年)
近藤秀一(東大・4年)
鈴木大海(創価・2年)
小林彬寛(専修・3年)
西沢晃佑(駿河台・4年)
相馬崇史(筑波・2年)
田中健祐(東京農業・4年)
鈴木悠太(平成国際・4年)
鈴木陸(明治学院・4年)

石井闘志(流通経済・1年)
外山正一郎(上智・4年)
関口大樹(関東学院・3年)
鈴木優斗(東京経済・3年)
永瀬孝(桜美林・2年)
古林潤也(防衛大学校・4年)

関東学連_スタメン_1
関東学連_スタメン_2
関東学連_登録選手_3
関東学連_登録選手_4


関東学生連合チームは事前に10区間の出走者が決まっており、補欠の選手はそれぞれ不測の事態に備えて準備をするという形になっています。



【各区間ごとの戦力】


※※※~戦力評価の内容~※※※
◎:大きな強み。チームの稼ぎポイント。
○:それなりの強み。ある程度のリードを期待できる。
△:及第点レベルだが、改善すれば強みになるポイント
▲:大きな課題点。改善出来ないと大きく差をつけられる要因になる可能性あり


<往路(エース・主力):△~○ >
箱根予選会のタイムなどから予想すると、米井(亜細亜)、国川(麗澤)、近藤(東大)、鈴木大(創価)が往路候補となります。
1区には前回も1区にエントリーされていた近藤が濃厚。2区は持ちタイムトップの米井が挑む形になるでしょう。そして、その後の流れ作りを国川と鈴木大が担うと予想されます。
この往路のメンバーは持ちタイムに加えて、場慣れしていたり、箱根への気持ちが強い環境にいるという面もアドバンテージになるかもしれません。
国川は2度目の学連チーム(1年時に選出)、近藤は4度目の学連チームでの練習になります。米井は全日本で日本学連選抜で5区を走り、その空気の片鱗を味わっています。鈴木は箱根の意識も強い創価大の環境で練習を積んでいます。
それぞれ、その気持ち・経験の面でのアドバンテージを活かしてどこまでベストに近い走りをできるかが学連チームが本戦を沸かす展開にできるかどうかを占います。


<5区・6区(山対策):▲~△ >
(起用予想…5区:相馬 6区:小林)
期待がかかるのは5区の相馬(筑波)。元々5区への気持ちが強く、前回の箱根では学連チームに選ばれ5区にエントリーされながら直前で回避となっています。
通常の学連の選手よりも5区に向けた準備の時間を多く得ている分、かつての吉村(流通経済大・当時)のような山登りでの区間1桁順位に届くかもしれません。
6区の候補になっているのは小林(専修)。ここ数年学連チームの選手は6区で苦戦していますが、ハーフの場数を踏んでいる小林は上手くフィットできるでしょうか。


<復路(総合力・箱根未経験選手):▲~○ >
復路候補に予想されるのが、西沢(駿河台)、田中(東京農業)、鈴木悠(平成国際)、鈴木陸(明治学院)です。
今回の学連メンバーのタイムを合わせると箱根予選会4位相当になるという事で、箱根予選会でのタイムで見ると復路も期待できる部分があります。
しかし、復路のメンバーは学連に選出された先輩を通してしか箱根本戦の空気を知らないと言えるほどにはチーム自体が箱根本戦から縁遠くなっている選手が多いように思います。
いざ走ってから向き合うことになる箱根本戦の空気。その中でどこまで自分の走りを出せるでしょうか。その振れ幅は非常に広いように感じます。


持ちタイムが優秀でスタミナ面に強みがある今回の関東学生連合チーム。急成長チームの麗澤大を率いる山川監督のもと、どこまで良い走りを見せられるでしょうか。