2020年度のシーズンに入りました。ここでは各大学ごとに昨季の振り返り・主な卒業生の紹介・新シーズンに向けての選手紹介を行ってまいります。

今回は、箱根駅伝予選会16位の東京農業大学です。 



【東京農業大学】

<昨季の主な大会成績>
全日本大学駅伝予選:11位で予選敗退
箱根駅伝予選会:16位で
予選敗退
山口武選手(当時3年)が箱根駅伝・関東学生連合に選出

<ポイント>
01. 18年の箱根駅伝予選会(19年箱根駅伝の予選)は総合16位で予選敗退。エース・小山選手をはじめ4選手が前に仕掛け、残りの選手は慎重なペースでの集団走でレースを進めますが、小山選手が終盤にペースを崩したほか、後方では後半にペースを上げられない選手も多く主力も中位層も出場権争いにはまだ力が足りないと感じる内容でした。
エースの小山選手をはじめ関東学生連合経験者も多い4年生世代が卒業することもあり、2019年度シーズンはチーム力を維持しながら出場権争いを目指す挑戦となりました。


02. 6月には全日本大学駅伝予選を迎えました。新エースの川田選手が自己ベストに近い好走で4区16位、若手の畠山選手が1組9位と健闘しますが、中軸の1人である工藤選手の欠場や組30位以下と苦戦する主力選手も出るなど、全体としては出場権争いには届かず総合11位となりました。それでも、ルーキーの北田選手が2組18位、実業団からのオールドルーキー山田選手が4組26位と奮闘したほか、櫻井選手がハイペースの3組で自己ベストを更新するなど収穫のある選手も少なくありませんでした。
続いて駅伝シーズンに入り、箱根駅伝予選会を迎えました。10km地点で100位以内が6名と主力選手は前回よりもかなり前でレースを進めますが、一方で後方の6選手は180~300位のエリアでバラバラな位置取りとなる不安なレース展開となります。そして後半に入り、主力選手は後半も暑さの中でも好走を続け100位以内でのフィニッシュが5名、ルーキーで奮闘した山田選手も116位でフィニッシュします。その一方で、後方の6選手は気温上昇によるダメージもあってか後半にペースを上げて200位以内に仕掛けていく事も難しい状況で、チーム7番手以降は260位以下でのフィニッシュと中位層は前回よりも厳しい内容となりました。全体では稼いだリードよりも遅れの方が大きくなり総合16位で箱根本戦出場はならず。山口選手を中心に3年生世代が大きな結果を出した一方で、気温上昇への対策が不十分で中位層が総崩れとなったのは大きな課題となりました。

03. エースの川田選手は全日本大学駅伝の日本学連選抜に選出され、最長の8区で区間10位と奮闘しました。そして、箱根駅伝予選会で川田選手を越える走りを見せた山口選手が箱根駅伝の関東学生連合に選出され花の2区を担当。高速レースな事もあって区間20位と順位は厳しいものでしたが、70分台半ばのタイムでまとめ近年の関東学生連合の中では粘りを見せる内容でした。
そして新シーズンに向けトラックレースを中心に大きく力を伸ばす選手が続出します。まず卒業生世代の川田選手が10000m28分台をマークしてチームを鼓舞すると、それに応えるように3年生世代から山口選手・工藤選手が10000m28分台をマーク、櫻井選手、平間選手、福脇選手も10000m29分台前半をマークし、新チームを牽引する世代が大きくスピードを磨きあげました。その他、2年生世代から1名、ルーキー世代から3名が10000m29分台をマークしています。
ロードレースは3月のハーフマラソンに照準を合わせていたため、大会の中止により成長度合いの確認は出来ていませんが、新エースの山口選手は2月に10マイルレースで47分08秒をマークしてそのスピードを長い距離にも適応させています。



【主な卒業生】

<補足説明>
・卒業生は、昨季駅伝シーズンに出走あるいは箱根メンバー入りをした選手を中心に一部の選手の紹介のみとなります
・大会成績は2019年度のものです
・タイムは2019年1月~2020年3月を対象としますが、(PB)と自己ベスト表記されたものはそれ以前のタイムの場合があります(大会成績、タイムは大学生に関しては共通)

川田裕也 全日本:8区10位 箱根予選:42位 全日本予選:4組16位
63分02秒28分51秒2514分04秒23
吉田蒼暉  箱根予選:265位
65分47秒/30分39秒35/14分51秒90

<ポイント>
01. エースとなった川田選手は、その肩書にふさわしい高いパフォーマンスを披露しました。全日本大学駅伝予選では、エースの4組で日本体育大や中央学院大といった予選突破チームの選手を上回る走りで組16位と健闘。箱根駅伝予選会でも高い総合力で前半から攻めの入りを見せ、終盤はややペースダウンしたものの42位でフィニッシュしてリードを稼ぎました。その後、全日本大学駅伝に日本学連選抜として出場し、最長区間の8区で力走しました。
吉田選手は19年の新潟ハーフで結果を出すなどスタミナを強化し、数少ない4年生からの箱根駅伝予選会出走を果たしますが、暑さに苦しみ終盤までペースを上げられない苦しい内容になりました。




【新チーム・主力候補】

<補足説明>
・ここでは新4年~新2年生の中から、箱根駅伝で出走した選手を中心にご紹介します

山口武(4年) 箱根:2区20位 箱根予選:17位 全日本予選:1組30位
63分59秒28分51秒49
櫻井亮也(4年)  箱根予選:58位 全日本予選:3組19位
65分15秒/29分02秒77/14分34秒15
工藤颯(4年)  箱根予選:94位
64分40秒/28分50秒3014分05秒20
平間大貴(4年)  箱根予選:86位 全日本予選:3組30位
65分28秒/29分22秒6614分37秒49
畠山流大(3年)  箱根予選:281位 全日本予選:1組9位
68分57秒/30分08秒57/14分30秒05
山田雄喜(2年)  箱根予選:116位 全日本予選:3組26位
65分56秒/30分10秒27/14分33秒85
北田大起(2年)  箱根予選:296位 全日本予選:2組18位
69分30秒/29分57秒95/14分37秒87

<ポイント>
01. 新チームのエース候補筆頭となったのが山口選手です。昨季の前半は力を発揮できない大会もありましたが、箱根駅伝予選会では5km以降から抜群の走りを見せてチームトップの結果を出します。その後10000mで28分台を出してスピードを磨き上げると、箱根駅伝では関東学生連合として花の2区を経験。予選会以降はハーフは走れていませんが、年明けに10マイルレースで46分台目前のタイムでまとめるなど、大学ラストシーズンにエースの走りが充分に期待できます。
その山口選手に続いてチームを支えるのが、櫻井選手・工藤選手・平間選手です。いずれも箱根駅伝予選会では100位以内となりリードを稼いだほか、10000mでは28分台~29分台前半をマークしてチームでもトップレベルのスピードを誇ります。櫻井選手はこの1年で勝負強さを身に着け、工藤選手はスタミナと合わせた総合力があり、平間選手は関東インカレも含めて多くの場数を踏んでいます。


02. 実業団経由で入学したオールドルーキーの山田選手も結果を残しました。山岳レースで世界を経験した高いポテンシャルがあり箱根駅伝予選会では暑さにも対応して安定した結果を出しました。まだまだ非常に伸びしろがあり、より平地でも力を発揮できる選手になる事が期待されます。
畠山選手、北田選手は全日本大学駅伝予選などトラックで良い内容を見せましたが、箱根駅伝予選会は共に厳しい結果に。スタミナ面を中心に力を伸ばしてリベンジといきたいところです。




【新チーム・レギュラー候補、成長株、復活選手】

<補足説明>
・ここでは新4年~新2年生で箱根駅伝は未出走の選手の中から、優秀な持ちタイムのレギュラー候補・急成長した選手・不調から復活傾向にあるなどをピックアップしてご紹介します

福脇昭也(4年)  箱根予選:260位
66分37秒/29分27秒65
小山日楓(4年)  箱根予選:316位
68分40秒/29分42秒6814分46秒64
盛田和輝(3年)
67分35秒/31分00秒76/14分12秒82
杵渕竜弥(2年)
 ― /29分48秒24
水村竜己(2年)
 ― /29分57秒54
大塚稜介(2年)  箱根予選:265位
68分22秒/31分28秒31
野嶋大佑(2年)
 ― /30分21秒97/14分40秒10

<ポイント>
01. 全体的にスタミナ面や大会実績で主力候補の選手と差がありますが、福脇選手、小山選手、杵渕選手、水村選手といったスピード面に強みを持つ選手は多いです。箱根駅伝予選会の中位層を充実させていきたいチームとしては、レギュラー候補からしっかりと長い距離での安定感がある選手を増やしていきたいところです。ルーキー世代もスピード面で一定の力をつけているので、2年目の成長にも期待がかかります。



【新チーム・新入生】

<補足説明>
・ここでは今季入部した新1年生の中から、主な注目選手をピックアップします
・大会成績及びタイムは原則2019年度を対象としますが(PB)と自己ベスト表記されたものはそれ以前のタイムの場合があります

高橋光晃(コモディイイダ)
65分50秒/29分05秒28(PB)14分14秒24
(PB)
並木寧音(東京実業)  関東高校:1区4位
14分29秒71/29分59秒19/29分54秒(10.0km)
高槻芳照(学法石川)  全国高校:4区20位
14分22秒82/23分34秒(8.08km)
長谷部慎
(学法石川)  全国高校:6区8位
14分22秒75/14分29秒(5.0km)
田中莉生(笛吹)  関東高校:6区10位
14分25秒07/ ―
松本虎太郎(西武台千葉)
14分29秒77(PB)/ ― 
奥田祥弥(鳥栖工業)  
全国高校:2区22位
14分32秒36(PB)/ ― 

<ポイント>
01. 即戦力としての期待が高いのが、実業団のコモディイイダを経て入部した高橋選手です。コモディイイダで2年間活動し、10000mでは28分台目前の持ちタイムがありニューイヤー駅伝のメンバー入りもしています。ややパフォーマンスに波がありスタミナも成長途中ですが、予選会デビューに最も近い新入生と言えます。

02. 全体的に、新入生のスピード水準はかなり高いです。10000mとロード10kmで共に30分切りを果たしている並木選手(東京実業)をはじめ、全国高校駅伝を経験している高槻選手(学法石川)、長谷部選手(学法石川)、奥田選手(鳥栖工業)など経験面が期待できる選手も揃います。例年以上に、1年生での即戦力が生まれるかもしれません。