2020年度のシーズンに入りました。ここでは各大学ごとに昨季の振り返り・主な卒業生の紹介・新シーズンに向けての選手紹介を行ってまいります。

今回は、箱根駅伝予選会22位の亜細亜大学です。 



【亜細亜大学】

<昨季の主な大会成績>
全日本大学駅伝予選:16位で予選敗退
箱根駅伝予選会:22位で予選敗退
上土井雅大選手(当時4年)が箱根駅伝・関東学生連合に選出

<ポイント>
01. 18年の箱根駅伝予選会(19年箱根駅伝の予選)は総合13位で予選敗退。米井選手と上土井選手が上位の集団で戦い、残りの選手は集団走で臨み10km地点で150~160位の位置につけるなど前半戦は順調に進めます。そして後半に入り、米井選手と上土井選手は好走を続け30位台でフィニッシュしたほか、8番手までは150位前後でフィニッシュするなど一定のリードも稼ぎましたが、主力格の田﨑選手が大きく失速したのをはじめ後半粘り切れなかった選手も出てチーム10番手の選手は202位。箱根出場権を掴むにはあと一歩足りませんでした。エースの米井選手をはじめ、力のある4年生が多い編成だった事もあり、次のシーズンに向けては戦力維持は大きな課題となりました。

02. トラックシーズンの6月には全日本大学駅伝予選を迎えました。前半では田﨑選手が1組19位と健闘を見せましたが、ほとんどの選手は組20位台~30位台。大崩れする選手は少なかったものの、なかなかレースの流れに乗りきれない内容となってしまいました。1~2年生の選手が5名出走し若手の選手に経験を積ませる事は出来ましたが、選手のブレイクなどもう一歩先の収穫は得られませんでした。
そして夏合宿や9月の記録会で足場を固めながら、駅伝シーズンの箱根駅伝予選会に臨みました。エースの上土井選手と実力のある河村選手が前の集団で戦い、残りの選手は集団走でレースを進める前回の予選会と同じプランで挑みます。しかし、レース中の気温上昇などで集団走の選手がスローペースから抜け出せず、10km地点で261位~370位と危険域に入ってしまいます。後半に入り集団の中から竹井選手や立石選手が順位を上げていきますが、200位台から抜け出せない選手やさらに崩れて300位台に落ちる選手も多く、さらに前で戦っていた河村選手も後半に崩れてしまい、プランは完全に崩壊。結果としては、粘り切った上土井選手が59位となったものの、2番手以降は180位以下となり箱根の出場権争いからは程遠い総合22位で予選敗退。元々の実力から見れば、波乱の予選会に最も苦しめられたチームの1つとなってしまいました。

03. 予選会惨敗のショックは非常に大きいものでしたが、元々実力のある選手が多いチーム。予選会後の記録会やロードレースで、次第に立て直していきます。
まずは、箱根駅伝の関東学生連合に選出された上土井選手。箱根前には記録会で10000m28分台をマークすると、箱根駅伝では4区で出走。強豪選手も苦しむような高速レースを戦い抜いて63分台半ばのタイムで4区15位と結果を残し、新チームの後輩を鼓舞しました。
そして、新チームは総合力をアップさせてリベンジの下地を整えていきます。スピード面のトラックレースでは、森木選手と河村選手が10000m29分台半ばをマークして新チームではトップの位置につけます。その他、
兼次選手、長谷部選手、倉淵選手、脇山選手、藤田選手が10000m29分台後半をマーク。水準は上がりましたが各大学がトラックレースでも高速化の傾向がある中ではパンチ力に欠けるところがあり、新シーズンでも更なるスピード強化が求められます。
そして大きな課題となったスタミナ強化は、予選会の翌月からハーフマラソンに積極的に出場して強化を図っていきました。その成果としては、大城選手、竹井選手がハーフ64分台をマーク。森木選手、河村選手、宍戸選手、藤田選手、古川選手が65分台をマーク。こちらもまだスタミナ自慢と言える域の選手は出ていないため、出場権を争うライバルの状況を考えるとまだまだ強化が求められます。
またその他には青梅マラソンの30kmレースで兼次選手、森木選手、吉岡祥選手が95~98分台をマーク。様々な角度から強化のアプローチをかけています。



【主な卒業生】

<補足説明>
・卒業生は、昨季駅伝シーズンに出走あるいは箱根メンバー入りをした選手を中心に一部の選手の紹介のみとなります
・大会成績は2019年度のものです
・タイムは2019年1月~2020年3月を対象としますが、(PB)と自己ベスト表記されたものはそれ以前のタイムの場合があります(大会成績、タイムは大学生に関しては共通)

上土井雅大 箱根:4区15位 箱根予選:59位 全日本予選:4組29位
64分14秒/28分45秒7114分13秒50
立石拓海  箱根予選:195位
66分25秒/30分34秒33
田﨑聖良  箱根予選:243位 全日本予選:1組19位
66分26秒/30分15秒5714分43秒94

<ポイント>
01. 上土井選手はエースの走りでチームを牽引します。全日本大学駅伝予選は力を発揮しきれませんでしたが、箱根駅伝予選会ではチームが苦境に立つ中でも上位のエリアで耐え抜きました。そして予選会後は10000m28分台などハイレベルな走りを継続し、箱根駅伝では4区の高速レースにも適応して見せました。
駅伝シーズンには主力の1人として奮闘した立石選手。これまで何度も結果を出している箱根駅伝予選会では、前半は暑さで苦しい位置になるも15kmまでに200位圏内に入って粘りの走りを続けて意地を見せました。
関東学生連合で箱根を走った経験もある田﨑選手。大きく崩れた前回の箱根駅伝予選会のリベンジを目指しスタミナ強化に励んで最後の予選会に挑みましたが、勝負どころの後半で順位を上げきれず悔しい結果に終わりました。



【新チーム・主力候補】

<補足説明>
・ここでは新4年~新2年生の中から、箱根駅伝で出走した選手を中心にご紹介します

大城義己(4年)  箱根予選:289位
64分36秒/30分03秒49
森木優摩(4年)  箱根予選:364位
65分05秒/29分32秒70/14分29秒40
兼次祐希(4年)  箱根予選:233位 全日本予選:2組27位
95分28秒(30.0km)/29分53秒75/14分44秒47
河村悠(3年)  箱根予選:182位 全日本予選:4組31位
65分09秒/29分28秒2614分29秒74
竹井祐貴(3年)  箱根予選:190位 全日本予選:3組23位
64分51秒/30分04秒7114分29秒70
長谷部航(3年)  箱根予選:344位 全日本予選:3組29位
66分27秒/29分58秒3114分40秒37
藤田寛大(2年)  全日本予選:1組35位
65分28秒/29分55秒93/14分39秒19
古川大翔(2年)  箱根予選:258位
65分38秒/30分47秒27/14分58秒26

<ポイント>
01. 新チームで気になるのがエースの確立。まだ、ここ数年のように突出した実力の選手は出ていませんが、強みのある選手が何人もエース候補に挙がっています。
河村選手は1年生時から高いパフォーマンスを発揮。箱根駅伝予選会では前エースの上土井選手と共に前半から積極的に仕掛けるなど、新チームではトップレベルのスピードを軸に戦います。
同じくスピードに強みがあるのが森木選手。トラックシーズン終盤に10000mで29分台半ばをマークして一気に注目の選手となりました。スタミナ面も30kmレースに挑むなど精力的に強化しており、あとは主要大会で結果を出すだけです。
そのスタミナ面で台頭してきたのが大城選手。年明けのハーフマラソンで64分台をマークして現チームでトップレベルのスタミナとなりました。エースを目指す上では、スピードや勝負強さをどこまで強化できるかが重要なポイントとなりそうです。
スタミナと大会実績を持つのが竹井選手。全日本大学駅伝予選や箱根駅伝予選会ではチーム内でも上位の結果を出しており、年明けのハーフマラソンで64分台をマークしています。スピードも強化して万全な総合力としていけるかにも注目です。

02. 主要大会の場数をしっかり踏んでいる兼次選手。昨季ハーフの距離ではあまり良い内容を出せませんでしたが、それを飛び越えて30kmレースで95分台のタイムをマークしています。長谷部選手は1年時からロードレースの場数を踏んでスタミナ強化に努めましたが、予選会はその上を行く難易度で結果を出せませんでした。それでも予選会後には10000mで29分台に突入するなど、様々な角度で成長を続けています。
ルーキー世代から台頭してきたのは藤田選手と古川選手。藤田選手は全日本大学駅伝予選を経験し、秋にはスピードも強化。古川選手は箱根駅伝予選会を経験しました。そしてルーキーシーズン終盤には共にハーフで65分台をマーク。レギュラー入りへ着実に土台を築いた1年となりました。




【新チーム・レギュラー候補、成長株、復活選手】

<補足説明>
・ここでは新4年~新2年生で箱根駅伝は未出走の選手の中から、優秀な持ちタイムのレギュラー候補・急成長した選手・不調から復活傾向にあるなどをピックアップしてご紹介します

柿木郁人(4年)
66分07秒/30分09秒72/14分46秒80
千田悠人(4年)
66分19秒/30分06秒52/14分45秒63
宍戸春(3年)
65分33秒/30分02秒52
倉淵大輔(3年)  全日本予選:2組33位
 ― /29分48秒70/14分13秒19
脇山隼斗(3年) 
67分53秒/29分53秒64/14分39秒46
一瀬達也(3年)  箱根予選:308位
69分53秒/30分29秒71
吉岡竜希(2年)  箱根予選:431位
66分46秒30分04秒43
佐藤颯(2年)
67分09秒/30分31秒70/14分43秒96
齋藤瑞希(2年)
67分19秒/30分43秒56

<ポイント>
01. 主力候補に負けずレギュラーを狙う選手層も充実しており、それが箱根出場を争う位置まで素早く戻れるという期待の証にもなっています。ハーフ65分台を2度マークして安定感のある宍戸選手、スピード面に強みを持つ倉淵選手と脇山選手、予選会は苦い経験となったもののその後スピードを中心に成長を見せている一瀬選手と吉岡竜選手、などレギュラーを狙う注目選手も揃います。
ルーキー世代からは佐藤選手と齋藤選手がピックアップ。前述の主力候補の2選手ほどではないですが、高校時代の持ちタイムから考えれば大きな成長を見せています。この成長ペースを継続できれば、もう1年経つ頃には主力を狙う位置へのステップアップも充分可能です。



【新チーム・新入生】

<補足説明>
・ここでは今季入部した新1年生の中から、主な注目選手をピックアップします
・大会成績及びタイムは原則2019年度を対象としますが(PB)と自己ベスト表記されたものはそれ以前のタイムの場合があります

杉浦樹(名経大高蔵)  東海高校:4区9位
14分36秒80(PB)/ ― 
永井康生(名経大高蔵)
14分41秒26(PB)/ ― 
中西勝輝(純真)
14分53秒52(PB)/ ― 
坂口歩(鹿児島工業)  全九州高校:4区11位
14分58秒14(PB)/ ― 
門田雄誠(高知農)  全国高校:5区57位
14分59秒19(PB)/ ― 
馬場健斗(仙台育英)
15分01秒42(PB)/ ― 
森澤俊平(文星芸大附属)  関東高校:4区15位
15分02秒76(PB)/ ― 

<ポイント>
01. リクルートはやや苦戦傾向で、即戦力を狙えるスピード水準の選手も気持ち少なめです。その中で注目なのは杉浦選手(名経大高蔵)と永井選手(名経大高蔵)。愛知県内で急速に力をつけている名経大高蔵高校から進学し、持ちタイムでも頭ひとつ抜けており1年目でのレギュラー入りも狙える選手達です。
また、新2年生世代でハーフ65分台や10000m30分台前半をマークした選手達も、入学時の5000mのスピードは今度の新入生と大きな差はありませんでした。入学後の環境への適応度が1年目での成長への大きな鍵となりそうです。